健康意識の高まりが後押ししていることもあり、ヘルシーで美味しい食品を目にする機会って増えましたよね。スーパーフードを取り入れた外食メニューや、コンビニやスーパーで販売される商品にも凄まじい進化を感じます。そんな百花繚乱なヘルシー食のなかでも、わたしが「そんな、最強やん…」と脱帽してしまうのが宇宙食です。
「宇宙食」と聞いて、皆さんがイメージされるのはどんなものでしょうか?謎めいたチューブ入りの液体や味気ないスティック状の固形物…。そんな宇宙食は40〜50年前のものでしかありません。2005年のミッションでは野口聡一飛行士が「宇宙食ラーメン」を食べ、2010年のミッションでは山崎直子飛行士が「手巻き寿司パーティ」を実施するなどバラエティ豊かなものとなっています。
人類史上、長期航海や極地探検時の栄養不足がミッション成功の障害となってきましたが、宇宙における栄養管理も黎明期からすでに大きな課題とされていました。そこで生命維持に必要な栄養素を凝縮した、私たちがイメージする「チューブ」や「スティック」が開発された訳なのですが、当時の飛行士からかなりの不評を買っていたそうです。そう、ストレスを発散するための「楽しい食事」というコンセプトがごっそり抜けていたんですね。
こうした反省を活かし現在開発されている宇宙食は、飛行士の健康を守るために必要な栄養素が配合されていることを前提としつつ、「楽しみの少ない宇宙生活のストレスをできるだけ少なくし、パフォーマンスを維持する」ことをコンセプトとして進化を続けています。さらに宇宙空間での長期滞在を見据え、「なるべく地上で食べているのものと同じものを」といった要請をうけ、各国独自のメニューも登場するようになりました。
つまり栄養はばっちりで美味しく、メニューのバラエティに富み、加えて各国の文化や多様性を取り入れた、最強のコンディショニングフード、それこそが「宇宙食」なんですね。す、凄すぎる…。
ちなみに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が認証しているメニューを紹介いたしましょう。(全部列挙していくと大変な数になってしますので、一部だけ抜粋です。)
・北海道産牛肉とミニトマトのハンバーグ
・名古屋コーチン味噌煮
・イベリコ豚とマッシュルームのカレー
・ちりめん山椒
・ホテイやきとり(柚子こしょう味)
・味付海苔 &切り餅
・宇宙生しょうゆ
・羊羹(小倉/栗)
・レトルトカレー(チキン/ビーフ/ポーク)
・河内晩柑(生鮮)
・清美オレンジ(生鮮)
・温州みかん(生鮮)
・シャインマスカット(生鮮)
こうしたメニューの中から気に入ったものを選び1日3食・一週間の献立を決定。さらに栄養管理士さんがチェックして、栄養バランスが取れるように少し組み替えて食べているそうです。生フルーツまで登場しているとは驚きですね。