パウダー状のプロテインに加えて、高タンパク・低糖質を謳い文句にする食品やお菓子もどんどん増えていますよね。以前は、ごく一部の層に限られていたプロテインが多くのユーザーに受け入れられているように感じます。ちなみに私の会社には、オフィスでプロテイン摂取している人も。おそらく10年前にはなかった光景です。
まずはいつも通り、おさらいから始めていきます。そもそも運動する人たちがプロテインを積極的に摂取する理由は何でしょう。「タンパク質を摂ると筋肉が付くんだよね」という答えですと栄養学的には50点くらい解答かも知れません。だって本当に必要なのはアミノ酸の方ですから。
人体を構成する成分のうち最も多いのは水分(約60%)、次いで多いのがタンパク質(約20%)です。ご存知の通り、このタンパク質こそが「プロテイン」の正体な訳ですが、人体はタンパク質を使って、筋肉、骨や内臓、血液、髪の毛、皮膚、爪といった多くの部位を形成します。つまり人体の材料となる栄養素こそがタンパク質です。
ただし、タンパク質はそのまま人体に取り込むにはサイズが大きすぎるので、体内に吸収される前に一度サイズの小さな「アミノ酸」へと姿を変え、そして再び体内でタンパク質に再合成されます。
つまり栄養学的に考えると、プロテインを摂取すべき理由は「体内で失われたタンパク質を補うために、アミノ酸として消化吸収するため」の方が正しい答えになるかと思います。
筋肉がつくという現象は、運動によって壊れた筋組織(タンパク質)を修復すること。そのために材料となるプロテインを積極的に摂取したい、というのは納得です。こうした背景もあって「プロテインは、筋トレ用の食品である」といったイメージが定着しているのかも知れません。
ですが、アミノ酸をもとに再合成されるのって、筋肉だけなんでしょうか?
先程申し上げました通り、人体のほとんどはタンパク質を素材として出来ています。つまるところ「肌をきれいにしたーい」「爪をきれいにしたーい」「髪の毛いっぱい生やしたーい」というニーズがあっても、その材料となるアミノ酸なしにそれらが叶うことはありません(もちろんアミノ酸やタンパク質さえ摂っていれば良い訳はないのですが)。
ここ最近のブームにあっては、印象が強すぎて「プロテイン→筋肉」という思考パターンになってしまうのは仕方が無いと思うのですが…プロテインでなく「 肌・髪・爪などなどの材料」を摂っているんだ!と思えば、運動しない方にもちょっと大切な栄養素に見えてきませんか?