世界で一番古いサプリメントは今も買える

日本国内でサプリメントが流通し始めたのは、ビタミンC研究の権威であったライナス・ポーリング博士の来日をきっかけとした1980年代のビタミンブームあたりから。当時からすでにアメリカでは、サプリメントは一般的でしたが、この栄養補助食品が誕生したのはいつ頃なのでしょうか。

 

このメールマガジンでも何回かお話しましたが、サプリメントは「タブレットやカプセル」といった形状を限定する名称ではありません。最近ですとグミ型のサプリ、チューインガム型、ラムネ型、チョコレート製品として売っているものもありますよね。

サプリメントがサプリメントであるための条件はただ1つ「普段の食事からは摂りにくい“特定の栄養素”を補う」な訳です。

実は、サプリメントの形は何でもOKというルールに基づくと…世界初のサプリメントはどの家庭にもある「調味料」だ、と言えそうなんです。それは、食塩。そうお塩です。

 

2007年、学術雑誌「アメリカ臨床栄養学会誌(The American Journal of Clinical Nutrition)」に掲載された論文にこんな一節があります。

米国における大々的な食事の(栄養)強化は、1924年に始まった。これは、甲状腺腫を防ぐため食卓塩にヨウ素を添加するもので、1933年には“くる病”予防を目的とした牛乳へのビタミンDの添加、さらに1941年には、小麦に対するチアミン、リボフラビン、鉄分の添加へと続いた。1930年半ばには、ビタミンAとD以上のものを提供するマルチビタミン/マルチミネラル製品を、薬局や食料品店で手にすることが可能になり、1940年初頭には初のマルチビタミン/マルチミネラルタブレットが発表された。

※ The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 85, Issue 1, January 2007, Pages 257S–264S

つまり、タブレット型のサプリメントが登場するよりも以前に、食品の栄養を強化した=食事から摂りにくい栄養素を添加した製品の方が先に登場していたんです。その始まりが食塩、私が世界初のサプリメントはお塩だ!と主張している理由もここにあります。

ちなみにですが…こうした栄養強化製品は、今もあるらしいのです。アメリカで生活された経験のある方なら、目にした機会があるかも知れませんが、今もスーパーマーケットなどで販売されている「IODIZED SALT」と書かれた製品こそ「ヨウ素添加塩」。牛乳に関しては今もビタミンD入り製品が一般的ですし、赤ちゃん用の粉ミルクには一定量のビタミンDを添加することが義務付けられている程です。さすがサプリメント先進国アメリカ、とでも言うべきでしょうか。