巣ごもり生活に戻りつつある昨今、自炊の機会が増えていませんか。昨年リモート業務がはじまった頃は、家ごはんの新鮮さもあり頑張れたのですが、最近は……たしかにちょっと飽きてます。そこで自炊の手間を減らす「冷凍野菜」を活用するのはいかがでしょうか?実は栄養面でも、意外なメリットがあるんです。
下ごしらえ不要・長期保存できる冷凍野菜。ささっと使えて便利な反面、なんとなく生野菜に比べると「不健康そう」「栄養偏りそう」「不味そう」といったイメージをお持ちの方も少なくないと思います。冷凍野菜って(なんとなく)添加物とかいっぱい入ってそうだし、(なんとなく)栄養も減ってしまっていそう。そのお気持ちは、分かります!
でも添加物の一つである「保存料」は、冷凍野菜には入っていません。
「食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制」することが保存料の目的ですが、一般的な冷凍庫の温度は−18℃。微生物が活動できる温度を下回っているため、意外かも知れませんが、そもそも使う必要がないんです。
栄養価についても一部のビタミンなどを除いて、冷凍加工をしてもほとんど損なわれません。
脂溶性ビタミン・ミネラル・食物繊維は、加熱や冷凍をしてもあまり栄養価の変化がないことが知られています。ビタミンB類・ビタミンCに代表される水溶性ビタミンは、ブランチングと呼ばれる冷凍前の下ゆで加工時に栄養価が目減りしますが、冷凍によって損なわれることはないんです。むしろ生野菜も、蒸したり煮たりすることで水溶性ビタミンが目減りしますので、生/冷凍での栄養価はほとんど変わらないとも言えます。
そう、もしかすると「冷凍野菜」に対するマイナス印象は、いくつかの誤解に起因しているかも知れないんです。怖い人かな?と思ったら、実はすごいナイスガイだった!みたいなこと、良くありますよね。
もう一つ冷凍野菜を応援できる事実があります。これも意外かも知れないですが、冷凍に使われるものは基本「旬の野菜」なんです。
野菜が旬であるメリットは大きく2つ有ります。
1つ目は、収穫量がその他の時期より多いため、比較的低価格な傾向があることです。出始めの白菜はびっくりするくらい高いですが、オンシーズンは家計の味方です。
2つ目が、栄養価が高いこと。例えば1年を通して食卓に並ぶホウレン草ですが、ビタミンCの量は季節によってこんなに違います。
ホウレン草に含まれるビタミンC
出典:女子栄養大学栄養学部 生物有機化学研究室 辻村卓「野菜の旬と栄養価」
市販されている多くの冷凍野菜は、低価格で栄養価の高い旬の時期に、大量に収穫しすぐに工場に搬入して冷凍処理されます。なんたって長期保存が効きますから。
つまりは、旬の野菜が1年を通して好きな時に食べられるのが「冷凍野菜」。ね、結構優れた食品でしょ?
最後に解消したいのが、「でも冷凍野菜、不味いやん」というツッコミです。
だけど、ふつう旬の野菜って美味しいですよね?これもよくある誤解ですが、冷凍野菜だから不味いのではなく、解凍の仕方に問題があって、ということが多いんです。
冷凍状態の野菜を常温やレンジで解凍すると、所謂「ドリップ」が大量に発生します。ここに栄養素やうまみが含まれているので、当然美味しさは失われてしまいます。
そこでオススメしたいのが、そもそも解凍しない「そのまま調理」。栄養や美味しさが逃げる前に一気に火を通してしまうことがコツです。凍ったまま鍋にドボン!雑に見えますが、野菜そのもの味を感じられるはずです。
この先、どこまで続くか分からない巣ごもり生活。疲れにくく続けやすい、そして少しでも楽しめる工夫は、コンディショニングの考えと共通する部分があるはずです。みんなで頑張りましょう。