前編では、数世紀前までは世界的に1日2食が主流だったこと、1日3食はライフスタイルの変化が要因であることから、歴史的には必ずしもMustではなさそうだ、ということが分かりました。
後編では、1日3食と比較される2つの説をご紹介していきます。
まずは1日1食。こちら、食事回数を1回にする代わり、好きなものを好きなだけ食べる、というスタイルが特長的です。
この説は「サーチュイン遺伝子が活性化し、人間の体内に存在している傷ついた細胞を修復してくれる」という研究に基づいています。
「長寿遺伝子」とも呼ばれるサーチュイン遺伝子は、最新の研究では細胞の活性化レベルや寿命との関連性が示唆されています。サーチュイン遺伝子はふだん休眠状態にありますが、あるスイッチによって活動状態になることがわかっています。それが「空腹」です。
日々の生活のなかに計画的な空腹の状態をつくること、そしてサーチュイン遺伝子を活性化することが、1日1食スタイルの狙いです。つまりは栄養よりも遺伝子のはたらきに注目しているわけです。
気をつければならない点は、あくまでも「栄養不足の状態」はNGとされていることです。1日1食であっても栄養不足の状態にならないよう、小魚をまるごと、果実は皮ごとなど、栄養バランスがよい食材を摂ることが推奨されています。
対して「1日5食」が注目しているのは「血糖値」。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことを指します。食事から摂取した糖質が消化吸収されるとブドウ糖となり、血流にのって全身の細胞に届けられます。これが脳、神経系、赤血球、筋肉などの重要なエネルギー源となるわけです。一方で、エネルギー源として使われなかったブドウ糖は、脂肪として蓄えられます。
しかし血糖値が急激に上昇した場合、通常よりもブドウ糖を脂肪として溜め込みやすい状態になることが分かってきました。つまり長い時間、空腹が続いた状態で食事を摂ると、血糖値が普通よりも上昇することがあり、メタボや生活習慣病につながる可能性があるわけです。1日5食は、ちょっとした満腹感を意識的に保つことで、血糖値の急激な上昇を避ける食事法といえます。
興味深いことに、1日5食においても「栄養過剰の状態」を避けるべき、ということが明言されています。あくまでも栄養はバランスよく、過剰なカロリーを摂らない食事が基本とされているわけです。
ここまでで分かったことが二点あります。
その2:どの食事法も、過不足ない栄養バランスが基本と言っている

大切なのは、正しく栄養素を摂ること。食事の回数はご自身のスタイルに合わせてデザインされるのはいかがでしょうか。