江戸時代には「薬喰(くすりぐい)」と呼ばれたお肉の食事。明治時代まで日本では獣肉を食べることを嫌う文化があったので、これを薬と称して滋養となる鹿や猪を食べていたそうです。体力をつけるためのお肉が重宝されていたんですね。それではご質問いただいたとおり、「元気がないよ…スタミナつけたい!」という狙いで、焼肉を食べるのはコンディショニングにとって効果的なんでしょうか?
まずは栄養の観点から、焼肉を捉え直してみましょう。基準は、高タンパク・低脂質のヘルシー食品としても人気の「赤身」のヒレにします。
牛ヒレ肉(100g)の栄養価
カロリー:223kcal
炭水化物:0.3g
たんぱく質:19.1g
脂質:15.0g
※日本食品標準成分表2015年版
たんぱく質の摂取基準は「60.0g/日」ですので、100gだけで1日に必要なたんぱく質の1/3が摂れてしまう高たんぱく食であることがわかります。しかもカロリーは1日の目標値に対して1/10以下と、ヘルシーさを兼ね備えています。
しかもビタミン・ミネラルも豊富で、特にビタミンB群や亜鉛が多く含まれた栄養的にも優れた食品です。疲労回復効果を期待することもできます。
ですが……ここで気をつけなければならないのは、「疲労回復できる食品」であることと、「疲労回復の即効性」があるかは、別の問題だという点です。
実は、焼肉を食べたとき特有の「元気になった感」、これは疲労回復を促す栄養由来ではない可能性があります。
肉類の中には、「アラキドン酸」という必須脂肪酸のひとつが多く含まれています。このアラキドン酸の一部は、脳内で「アナンダマイド(アナンダミド)」という物質に変化し、幸福感や高揚感をもたらすことが分かっています。つまり肉類は「脳に幸せを感じさせる」成分が豊富なんですね。
疲れた時に食べる焼肉は元気の源かもしれません。ただし根本から身体の疲れを癒やすというよりも、脳に対して一時的にアプローチする対処療法的な側面が強そうだ、と言えそうです。
焼肉が優れた栄養価を持っていることは確かです。そして何より、美味しく楽しいメニューですよね。
「疲れた…どうしよう」という1日の終りに仲間と一緒に焼肉で精をつける、これも素敵なコンディショニングでしょう。ただし「焼肉頼り」で普段の栄養をおろそかにするのは、もったいない!継続的な取り組みが何より大切です。
そのほかにも栄養やサプリメントのことなど。何か疑問があれば、Tuneカスタマーサポートまで、お気軽になんでも聞いてください!